毎日の食卓に出てくるヨーグルト。
食べると腸内環境を整えてくれる体に良い食べ物と言われています。
今回はそのヨーグルトの歴史を簡単にまとめていきます。
なお参考にしたのは牧畜と乳文化を研究している平田昌弘さんが書かれた「人とミルクの1万年」という本です。
ヨーグルトの歴史
ヨーグルトは保存食として始まった
ヨーグルトの発祥は中央ヨーロッパと言われています。
農業が行いにくく、定住に適さない地であったところに、牧畜と共に住み始めた人が搾乳という技術を編み出しました。
羊やヤギなどの牧畜から「乳」を取ることで、貴重なたんぱく質を得ることができました。
ただ乳は腐敗しやすく、長期間保存することはできません。
ある時、乳を袋に入れていたところ自然と乳酸発酵が始まりヨーグルトが誕生しました。
ヨーグルトは、発酵の過程で乳酸菌が増え、他の菌が増えにくい環境となります。
そのため、乳のままと比べると保存性に優れています。
当時の人は、絞った乳をヨーグルトにすることで保存性を高めていたと言われています。
このように、ヨーグルトは「たんぱく質を保存する」という過程で生まれた食べ物なのです。
ヨーグルトからチーズやバターが生まれた
ヨーグルトは、乳と比べて保存性が高まります。
しかし、何か月も保存できる訳ではありません。
中央ヨーロッパで飼っていた牧畜が乳を出すのは春から夏にかけて期間に限られていました。
乳を取れない秋から冬にかけて、たんぱく質を保存する術が求められました。
そこで当時の人は、ヨーグルトから「チーズとバターオイル」を作りました。
チーズは以下の流れで作ります。
・ヨーグルトを攪拌し、バターミルクとバターに分離
・バターミルクを加熱・脱水することで、チーズができる
乳のたんぱく質を分離し、水分を取り除くことで、長期間保存できるチーズができました。
次にバターオイルの作り方です。
・ヨーグルトを攪拌し、バターミルクとバターに分離。
・バターを加熱することでバターオイルができる
バターオイルは、乳から乳脂肪を取り出したもので、色々な料理に使われます。
こちらも水分を完全に取り除くため、長期間保存することが可能です。
こうして当時の人は、搾乳ができない期間も保存したチーズやバターオイルを使うことで、栄養を摂取することができるようになりました。
乳の保存性を高める一連の流れ
このように歴史を見ると、ヨーグルトは乳の保存性を高める一連の流れの一部を担っている事が分かります。
ヨーグルトだけではなく、一連の流れとしてチーズやバターも一緒に勉強していく必要がありそうです。
日本にヨーグルト文化が入ってきたのは戦後
世界では、紀元前数千年前からヨーグルト文化が始まり、そこに住む人の食文化に溶け込んでいます。
一方で日本で一般的にヨーグルトを食べるようになったのは、戦後からと言われています。
奈良時代の頃は、貴族など一部の人が高級品や薬としてヨーグルトを食べていたと言われています。
しかし鎌倉時代になり、酪農より馬を重用する武士が台頭すると、ヨーグルト文化は徐々にすたれていきました。
最終的には室町時代に戦乱が続いたことで、ヨーグルト文化は完全に途絶えました。
世界で広がったヨーグルト文化ですが、なぜ日本では広まらなかったのでしょうか?
大きい要因として考えられるのが、日本にはたんぱく源が豊富にあったからだと考えられます。
日本には、大豆や魚などからたんぱく質を摂取できるので、乳からたんぱく質を摂取する必要性が低かったと推測されます。
明治時代になると、政府が乳牛を推進したこともあり、牛乳を飲むようになりました。
しかしヨーグルトは、牛乳の余りを利用して少量作られただけのようです。
その後戦後になって、ヨーグルトが健康に良いと言われるようになり、僕たち一般大衆も食べる身近な食べ物になりました。
ヨーグルトの歴史を知ったことで…
ヨーグルトは乳を乳酸菌を使って発酵させた食べ物です。
今回、ヨーグルトについて勉強することで、新しい事に興味が湧きました。
・ヨーグルト、チーズ、バターオイルを自分で作ってみたい
・発酵について知りたい
先ほど書いたように、ヨーグルトは乳の保存の一つの過程に過ぎません。
全体を理解するためには、乳からヨーグルト、チーズ、バターオイルを知る必要があります。
そして幸いなことに、これらの食品は自力で作ることができそうなものが多いです。
なので「モノは試し」という事で、これらの製品を一通りつくってみたいと思います。
また発酵についても興味が湧きました。
日本ではヨーグルト文化こそ発展しなかったものの、味噌などの発酵食品が豊富です。
日本独自の発酵文化を調べるのも面白そうです。
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